【3月27日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、週末に南部ニース(Nice)で行われた「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動に参加して重傷を負った高齢の女性を批判したことに対し、共感が足りないなどとして非難する声が上がっている。

 マクロン氏はこれまでも生活難を訴える一般市民に対し、横柄で軽蔑的な態度を取っているとしてたびたび批判されてきた。

 今回、マクロン氏から容赦ない言葉を浴びせられたのは、反グローバリゼーションを訴える団体「アタック(Attac)」の活動家のジュヌビエーブ・レゲ(Genevieve Legay)さん(73)。23日にニースで行われた反政権デモの最中に、デモ隊と機動隊が衝突した際に頭蓋骨を骨折した。

 現地のジャンミシェル・プレートル(Jean-Michel Pretre)検察官によると、立ち入り禁止区域に入ろうとしたデモ隊を機動隊が阻止しようとしたところ、レゲさんが車止めのポールに頭をぶつけたという。

 マクロン氏は訪仏中だった習近平(Xi Jinping)国家主席と会談するため、デモ翌日の24日にニースを訪れたが、この際、現地日刊紙ニース・マタン(Nice Matin)に対し、レゲさんには「早期に回復してほしい」が「一種の知恵」も持ってほしいとコメント。「人は自らが弱く、危険が迫っているときには、立ち入りが禁止されている場所へは行かないものだ。まして今回のような状況に身を置くべきではない」と述べた。

 レゲさんの家族は、マクロン氏のこの発言を直ちに非難。罪のないデモの参加者に対し、警察が過度の力を行使したと抗議した。一家の弁護士も「病院のベッドにいる人を批判すべきではない」と述べ、マクロン氏の発言は「鈍感で無神経だ」と非難した。(c)AFP/Claudine RENAUD, with Clare BYRNE