ガラパゴス諸島固有の動物相、プラスチック微粒子が脅威に
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【3月27日 AFP】南米エクアドル沖に浮かぶ自然豊かなガラパゴス諸島(Galapagos Islands)では、国立公園の管理官とボランティアの人々が手袋と大きな袋だけを武器に、島々の環境や特有の生物群に悪影響を及ぼすプラスチックごみと闘っている。
エクアドルの西方約1000キロに位置するガラパゴス諸島の海岸には、大量のプラスチックごみが流れ着く。そこでは最終的に、諸島の固有種の生物がプラスチック微粒子を体内に取り込んでしまう。他の国々や大陸の大都市で廃棄されたごみに由来することが多いこれらのプラスチック微粒子は、ガラパゴス諸島に生息するイグアナやカメ、鳥や魚にとって最大の脅威の一つである可能性があるのだ。
ガラパゴス国立公園局(PNG)の海洋生態系専門家で生物学者のジェニファー・スアレス(Jennifer Suarez)氏はAFPの取材に対し、プラスチック微粒子は食物連鎖の一部となり、「それを人がどこかで食べることも考えられる」と話した。
海に浮かぶ、ボトルや袋、容器やふた、漁網などは、太陽光線と海の塩分によって小さな破片へと分解される。これらプラスチック製品は肉眼では固くて壊れないように見えるかもしれないが、何度も岩に打ち付けられたり波の力で打たれたりすると微粒子として剥がれ落ち、その後、生物によって摂取される。
毎年、過酷な暑さと照りつける日差しの中で遠征調査団がガラパゴスの砂浜を訪れ、人に起因する環境被害を調べている。対象となるエリアには、絶滅危惧種を含む多くの生物が生息しているが、調査では、靴、ライター、ペン、空き缶、成人用玩具などのごみが見つかるという。
AFPの取材班は、イサベラ島(Isabela Island)北端のプンタ・アルベマルレ(Punta Albemarle)での清掃活動に密着取材した。この無人地帯でも、遠く離れたさまざまな地域から流れ着いたごみが見つかっている。
PNGのホルヘ・カリオン(Jorge Carrion)所長は、「集められたごみの90%以上はガラパゴスの活動ではなく、南米や中米に由来しており、またアジア地域とのかかわりを示すごみも多い」と説明した。
国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に指定されている人口約2万5000人のガラパゴス諸島は近年、プラスチック製品の使用に関する規則を厳しくした。
今年はすでに8トンのごみが収集されている。2018年は1年間で24トン、2017年は同6.5トンだった。
公園管理当局では、ごみの影響を受けた動物に関する記録簿を作成している。これまでに、使用済み紙おむつやレジ袋を使って巣作りをする海鳥のコバネウや、ごみの山に埋もれた状態で見つかったカツオドリの死骸などが記録されている。