【10月24日 AFP】欧州とロシア、日本の被験者を対象にした調査で、それぞれの排せつ物から微小なプラスチック片が検出されたことが23日、発表された。食物連鎖の中にプラスチックが広く存在することを示した初の調査結果だという。

 オーストリア・ウィーン(Vienna)で開催の胃腸病学会議で発表された結果によると、小規模の予備的研究に参加したボランティア被験者8人全員が数種類のプラスチックを排出しており、排せつ物10グラム当たり平均20個のプラスチック微粒子が検出されたという。

 プラスチック微粒子は大きさが50~500マイクロメートルで、海産物、食品包装材、ほこり、ペットボトルなどを経由して体内に取り込まれた可能性があると、研究チームは推測している。

 1マイクロメートルは1000分の1ミリ。人毛の直径は約50~100マイクロメートルだ。

 サンプルの分析を行ったオーストリア連邦環境庁の研究者ベティーナ・リープマン(Bettina Liebmann)氏によると今回、9種類の異なるプラスチックを検出したという。

 最も多く検出されたのは、ペットボトルのふたや梱包用ロープなどに使われているポリプロピレン(PP)と、飲料水のボトルや繊維素材などに使われているポリエチレン・テレフタレート(PET)の2種だった。

 この2種とポリスチレン(使い捨て食器やカップ、保冷容器など)とポリエチレン(レジ袋など)を合わせると、今回検出された微粒子全体の95%以上を占めた。

 研究を主導したオーストリア・ウィーン医科大学(Medical University of Vienna)のフィリップ・シュワブル(Philipp Schwabl)氏は、「今回の研究では、栄養に関する(体の)働きとマイクロプラスチック(プラスチック微粒子)への暴露との確実な関連性を実証することはできなかった」と述べた。

 動物に関する過去の研究では、マイクロプラスチックの濃度は胃腸内が最も高かったが、少量のマイクロプラスチックが血液、リンパ液、肝臓などからも検出されていた。

 シュワブル氏は、「マイクロプラスチックをめぐっては、炎症反応のきっかけとなったり、有害物質として吸収されたりすることによって、消化管に損傷を与える恐れがあるとの初期的な兆候がみられる」と指摘しながら、「人体に対するマイクロプラスチックの潜在的な危険性を評価するためには、さらに研究を重ねる必要がある」と続けた。