【4月2日 AFP】テキストを自動作成するボット「トビ(Tobi)」は、スイスの大手メディア、タメディア(Tamedia)のために、2018年11月にスイスで行われた選挙結果に関する記事を4万本近く書いた──たった5分で。

 このような人工知能(AI)プログラムは10年ほど前から実用化されているが、最近になり報道機関での利用が大きく広がっている。報道機関は、記事の作成から個人の関心に合わせたニュース配信、時にはデータ検索による重要記事の選別まで、トビのようなボットに頼るようになっている。

 米マイアミで2月に開かれた「コンピュテーション・ジャーナリズム・シンポジウム(Computation + Journalism Symposium)」で、ある新聞が行った報告によると、トビはタメディアのために、スイスの2222市町村の選挙結果に関する記事をフランス語とドイツ語で同時に作成した。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、2014年から「ヘリオグラフ(Heliograf)」という同様の自動プログラムを使っており、地元のスポーツやビジネス情報に加え、約500件の選挙戦に関する記事を毎日作成することができるようになった。

 ボットの利用について報道機関は、人間の記者や編集者と置き換えるつもりではなく、むしろスポーツの試合結果や決算報告といった単調な記事作成から彼らを解放するためのものだと説明している。

 ヘリオグラフはワシントン・ポスト編集部を支援するための道具として開発されたと、同紙の戦略的イニシアチブ担当責任者ジェレミー・ギルバート(Jeremy Gilbert)氏は述べている。

 ギルバート氏は、ヘリオグラフは記事作成だけではなく、記事の更新、配信もより素早くできると話す。それによって記者たちは他の仕事に集中できるため、これまでのところ、おおむね好評だという。