【3月16日 AFP】イラク人のアシュラフ・アトラクジ(Ashraf al-Atraqji)さん(38)はイラク・モスル(Mosul)で、がれきの山の間から伸びている草を注意深くよけ、太陽の光が降り注ぐ岩の上に腰を下ろすと、カメラマンに向かってポーズを取った。

 背後には、預言者ユヌス(Prophet Yunus)のモスク(イスラム礼拝所)の残骸がそのままになっている。この古代遺跡は、モスルが2014年にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に掌握された際に破壊された。

 イラク軍がモスルをISから奪還して1年半。住民たちの間では、地元のアマチュアカメラマンにお金を出して、街の暗黒の日々の記憶を残そうとする動きが起きている。

 アトラクジさんはAFPに対し、あの日々が二度と戻らないことを願うと話し、「テロリストたちがしたことを記録しておきたい。私の子どもたちが、この残骸の向こうで未来を築けるように」と語った。

 ISは2014年、イラクの広範囲の領土を支配下に置き、一般市民を虐殺。数十か所に多数の遺体を遺棄した。国連(UN)によると、そうした遺体は最大1万2000人分に上る可能性もあるという。

 IS戦闘員は、シャリア(イスラム法)の極めて厳格な解釈を人々に押し付け、数世紀前に建てられた教会から楽器に至るまであらゆるものを破壊。約300か所の写真スタジオにも押し入り、壁に飾ってあった写真を引き裂いた。写真スタジオの経営者やカメラマンは、罰金や残虐な罰を恐れ、避難するか、機材を隠した。

 モハマド・ディア(Mohammad Dhia)さん(27)は、人出でにぎわう地域にある改修工事が終わったばかりの広場で、幼いわが子2人とカメラの前でポーズを取っていた。

 イラクのインターネット利用者は、人口の半数近い2000万人に上るが、そうした人々の例に漏れず、フェイスブック(Facebook)のプロフィール欄に自分の写真を掲載したいのだという。

「高品質で美しい写真だ。こういう形で、私は若いカメラマンを支援している」とディアさんは語った。