【3月11日 AFP】シリア北東部にあるアルホル(Al-Hol)避難民キャンプには今、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に戦闘員として加わった外国人の妻たちが拘束されている。

 女性たちはキャンプの中の特別な一画に設けられた簡素なテントに身を寄せ合うように暮らしており、ISが樹立を宣言した「カリフ制国家」での暮らしについては固く口を閉ざしている。だが、さまざまな背景を持つ女性たちは少なくとも一つだけ、共通した思いを持っている――子どもたちと離されるのではないかという恐怖だ。

 取材に応じてくれる女性がほぼいない中、モロッコ出身だというケンザさん(38)が話すことに同意してくれた。このキャンプにいるほとんどの女性と同じように、黒い布で全身を覆っていた。

 ケンザさんは2週間前、クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」がISに最終攻勢を仕掛けているシリア最後のIS拠点、バグズ(Baghouz)から逃げ出した。夫に連れられてシリアに来たが、夫は「自分の資産を持って来ていたので」、ISのために働いたことはなかったと主張する。その夫は爆撃で亡くなった。

 なぜ、地獄のような惨状を呈するバグズに3人の子どもを連れてついてきたのかと尋ねると、ケンザさんは「ISの戦闘員たちが、私たちが逃げ出すのを阻んでいた」と答えた。ケンザさんはモロッコ政府が自分と子どもたちを帰国させてくれること、自分が拘束される理由はないとみなしてくれることを望んでいる。