【3月6日 AFP】オーストラリアの複数の大学の研究者が、ディンゴは犬の仲間ではなく独自の種だとして、保全策についての見直しを求めた。

 研究者ら20人は生物分類学の国際学術誌「Zootaxa」で5日に発表された論文で、ディンゴにはイエイヌや野生化した犬とは異なる多くの特徴があり、オオカミやキツネが属するイヌ科の他の野生動物とも違うと主張。1000年以上にわたり、オーストラリアという地理的に隔絶された環境に生息し、家畜化された痕跡もないことから、ディンゴを犬とする「証拠はほとんどない」と結論付けた。

 セントラルクイーンズランド大学(Central Queensland University)のブラッドリー・スミス(Bradley Smith)氏は声明で「ディンゴがオーストラリアへ到達して以来、家畜化されたという歴史的証拠はなく、それ以前の家畜化の度合いについては不明だが、可能性は低い」と述べている。

 ディンゴの分類はこれまでも科学界で論争を巻き起こしてきた。オーストラリア博物館(Australian Museum)ではディンゴを「野犬」とみなしており、約4000年前にアジアから人間と一緒にオーストラリアへ渡来したと推測している。

 ディンゴをどう位置付けるかによって、オーストラリア各地では対処に食い違いが生じている。多くの人々は、ディンゴは人間が飼育している動物や家畜にとって脅威だと考えているが、野良猫やキツネなど害獣とみなされる動物を抑えることにディンゴが役立っているという主張もある。

 一方、ディンゴの抑制策は野犬の管理事業と一緒に行われることが多いが、州ごとに異なり、一部の地域ではディンゴを捕獲し殺すことも認められている。

 今回、研究者らはディンゴを犬ではないと主張し、政府はオーストラリアの固有種と認め、保護政策を拡大させるべきだと訴えている。

 なお、ディンゴが人間を襲撃することはまれだが、同国北東部クイーンズランド(Queensland)州沖にある観光地、フレーザー島(Fraser Island)では過去何年かの間に数件の事故が起きている。今年も1月に同島で6歳の男児が襲われた他、2月末にもフランス人観光客の母子がディンゴの群れに襲われ、治療を受けた。(c)AFP