ICJ、英国にチャゴス諸島返還を勧告 米軍が基地に利用
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【2月26日 AFP】国連(UN)の主要司法機関である国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は25日、英国はインド洋のチャゴス諸島(Chagos Islands)の統治権を「可能な限り迅速に」放棄すべきとする勧告的意見を出した。大規模な米空軍基地がある同諸島は、英国とモーリシャスとの間で数十年にわたり論争の種となっている。
ICJは、1965年にモーリシャスからチャゴス諸島を分離した英国の措置は違法だったと判断。ICJのアブドルカウィ・アフメド・ユスフ(Abdulqawi Ahmed Yusuf)所長は「英国には、チャゴス諸島の統治を可能な限り迅速に終結させ、モーリシャスに自国領の非植民地化を完了させる義務がある」と指摘した。
モーリシャスはチャゴス諸島分離後の1968年に独立。チャゴス諸島では全住民が島外に退去させられた。モーリシャスは2017年の国連総会(UN General Assembly)で、チャゴス諸島の今後と住民退去の合法性に関するICJの法的助言を求める決議案を提出。同案はアフリカ諸国の支持を得て採択されていた。
拘束力はないものの、大きな象徴的・政治的意味を持つICJの勧告的意見について、モーリシャス政府やチャゴス諸島の元住民らは「歴史的」と歓迎している。
一方の英外務省は、イラクやアフガニスタンの空爆に使用されてきたチャゴス諸島のディエゴガルシア(Diego Garcia)米軍基地について、「英国と世界中の人々をテロの脅威、組織犯罪、そして海賊行為から守る一助となっている」と反論。「これは勧告的意見であって、判決ではない」としつつも、意見を「慎重に」吟味する意向を示した。(c)AFP