【2月22日 AFP】ヘイトクライム(憎悪犯罪)に巻き込まれたとうその通報をした自作自演の疑いで検察から訴追されていた米黒人俳優ジャシー・スモレット(Jussie Smollett)容疑者(36)が21日、シカゴ警察に出頭し逮捕された。警察によると「報酬への不満」が動機とみられる。

 米テレビドラマ「Empire 成功の代償(Empire)」への出演で知られ、同性愛を公表しているスモレット容疑者は、先月29日にシカゴ中心部で覆面をした2人組に殴られ、「人種差別的で同性愛嫌悪を含んだ中傷」を浴びせられたとの被害届を警察に提出。

 スモレット容疑者は2人組が漂白剤をかけた上にロープを首に巻き付け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のスローガン「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」の頭文字をもじった言葉を使い「ここはマガの国だ」と叫んだと主張していた。

 しかし警察は裏付けが取れず、スモレット容疑者の説明を不審に思うようになった。シカゴ警察は20日、同容疑者が風紀紊乱(びんらん)行為と虚偽通報の疑いで検察に訴追されたと発表した。

 シカゴ警察のエディ・ジョンソン(Eddie Johnson)警察本部長は記者会見で、スモレット容疑者が「自分のキャリアアップのために人種差別の苦しみや怒りを利用した」と非難。犯行は「売名行為」に当たり、動機は「報酬への不満」だったとみられるとの考えを示した。

 ジョンソン氏によると、スモレット容疑者は襲撃犯役の2人組に3500ドル(約38万円)を支払っていた。保釈金は10万ドル(約1100万円)に設定され、同容疑者は21日午後に保釈された。

 有罪判決を受けた場合、スモレット容疑者は最長3年の禁錮刑を言い渡される可能性がある。(c)AFP/Nova SAFO