【2月22日 AFP】2015年11月のパリ連続襲撃事件で出された犯行声明の声の主として知られるイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のフランス人構成員が、シリアで実施された夜間空爆で死亡した。治安筋がAFPに明らかにした。

 死亡したのはファビアン・クラン(Fabien Clain)容疑者。匿名の情報筋によれば、空爆はISがシリア最後の拠点とする東部の村、バグズ(Baghouz)で行われた。バグズでは、ISの残党が米主導の有志連合の支援を受けた民兵組織「シリア民主軍(SDF)」への抵抗を続けている。

 クラン容疑者は過激派として長い経歴を持ち、2009年には米軍と戦う過激主義者らをイラクに送り込む活動に加担。要員の新規募集と派遣を担うネットワークを組織したとして、禁錮5年の判決を受けた。

 同容疑者は2015年3月、ISが「カリフ制国家」と称する支配地域で暮らすため、シリアに渡航したとみられている。

 パリの事件では、市内の複数のレストランやバー、劇場「バタクラン(Bataclan)」、国立競技場が組織的に襲撃され、129人が死亡。その残虐さは世界に衝撃を与えた。同容疑者は事件後に公開された動画で「自爆ベルトを身に着け、自動小銃を持った8人の兄弟たち」が「フランスの十字軍戦士たちに聖なる攻撃」を実行したと述べた。

 前出の治安筋によれば、クラン容疑者の弟、ジャンミシェル(Jean-Michel Clain)容疑者もイスラム過激派で、バグズでの同じ空爆で負傷した。

 クラン容疑者はインド洋の仏海外県レユニオン(Reunion)島で生まれ、フランス本土に移住。1990年代に1990年代にイスラム教に改宗し、「オマル同志(Brother Omar)」「アブアダム・ファランシ(Abu Adam Al-Faransi)」の名でも知られる。年齢は40代前半とみられている。