■細胞を守る働き

 最初のスクリーニングを行った後、研究チームはDMCを候補に定め、酵母細胞に対してDMCがどのような影響を及ぼすかを調べた。

 その結果、加齢の影響から酵母細胞を守る助けとして、実際にDMCが働いていることを確認することができた。またその効果についても、ブドウの皮などに含まれるレスベラトロルのように、細胞を保護する作用があるとして評価されている既存の一部化合物と同等かそれ以上であることも分かった。

 研究チームは次に、医学研究で広く用いられる実験動物の線虫とミバエの細胞に対するDMCの影響を調べた。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文には、「特筆すべきことに、DMCの長期投与により、両方のモデル生物の寿命の中央値が約20%延長した」と記された。

 追加の実験では、DMCが自食作用を通じてマウスの心臓の細胞を守る助けになることが示され、またエタノール中毒に起因するある種の肝臓損傷を防ぐことも明らかになった。

 数種類のヒト細胞に対する影響についても調べた。すると、ここでもDMCが加齢を減速させる働きをしていることが確認できた。

 今回の結果についてマデオ教授は、「この実験はDMCの効果がヒトにも発揮される可能性があることを示している。しかし、ここは慎重になって実際の臨床試験を待つ必要がある」と注意を呼び掛けている。

 同教授は、研究はまだ初期段階にあるとしながら、次の段階ではマウスの心臓で確認されたDMCのプラス効果が、加齢や加齢に関連する病気からマウスを守ったのと同じように、さらに広範囲にまで及ぶのかどうかといったことを調べる予定であると説明し、「最終的にはヒトを対象とする臨床試験を行う必要がある」と話した。(c)AFP