【1月30日 AFP】スカンジナビア(Scandinavia)半島の国ノルウェーの冬の海でシャチの親子が餌を求めて泳ぎ回っている。すぐ近くにいるダイバーたちを気にする様子はない。ここにはシャチが好んで捕食するニシンが豊富にいるのだ。

 ノルウェーの極北にあるレイサフィヨルド(Reisafjorden)の澄んだ穏やかな海域はここ数年、国内に生息するシャチ個体群が冬を過ごす活動の場となっている。気候変動により、捕食動物とその獲物は、ともに北方への移動を余儀なくされているのだ。

 水温3度の冷たい海水は、2月~3月に産卵期を迎えるニシンにとって最適な条件だ。この時期のニシンは身が太り、そして腹を空かせたシャチの餌になる。

 シャチはニシンの群れの周囲をまるで水中バレエを演じているかのように泳ぎ回り、群れを水面にまで追い込んだ後、その大きな尾びれで水面をたたいてニシンを気絶させる。

 仏海洋哺乳類保護団体「アンダーシー・ソフト・エンカウンター・アライアンス(Undersea Soft Encounter Alliance)」の創設者ピエール・ロベール・ド・ラトゥール(Pierre Robert de Latour)氏は、ホエールウオッチング船の上でAFPのインタビューに応じ、「ニシンを気絶させた後、シャチたちは仲間とごちそうを分け合う」と話し、最もおいしい部分である卵巣、肉、精巣のみを食べると説明した。ニシンは捕獲が容易で大量に摂取可能であるうえ、非常に高カロリーな食べ物なのだという。

 だが過去20年間で、ニシンはノルウェー・ロフォーテン諸島(Lofoten Islands)を離れて北方に300キロ移動している。繁殖の必須条件である水温6度未満を維持する海域を探すためだ。

 アザラシや小型のクジラなどの獲物をあまり捕獲しないノルウェーのシャチも、移動したニシンを追って北上した。これについてロベール・ド・ラトゥール氏は、「海水温上昇の原因となる地球温暖化が、ニシンをさらなる北方へと押しやってきたと考えられる」と分析し、「長期的には、ニシンはまたさらに北方に移動すると思われる。その生息数がもし減少すれば、クジラ、シャチ、海鳥、タラなどにとって環境の破滅的変化となるだろう」と続けた。

 一部の研究者らによると、ノルウェー沿岸には最大で3000頭のシャチが生息している可能性があるという。