■漁業と観光客の増加の影響も

 他方でロベール・ド・ラトゥール氏は、地球温暖化に加え、漁業と観光客の増加がシャチに脅威をもたらすとも指摘している。現在、このエリアでは、エコツーリズムが活況を呈しており、ホエールウオッチングやダイビング目的の観光客が押し寄せているという。

 最近では、大勢のアマチュアダイバーを乗せたボート数隻が同じフィヨルド内に集まっている光景も珍しくない。大型哺乳類シャチからわずか数メートルの距離にまでボートやダイバーたちが接近しているのだ。

 こうした状況について、地域の自然ガイドの一人でもあるロベール・ド・ラトゥール氏は、「ホエールウオッチングはこれらの動物と彼らの海での生活に関する認識を高めて人々を啓蒙(けいもう)するのに効果的な方法だ。ただ、あまりに度が過ぎると何らかの問題につながる恐れがある」と説明している。

■雄のシャチ「ケイコ」

 今から約15年前、米ハリウッド(Hollywood)映画に出演し、世界的に有名になった1頭のシャチが、ノルウェーの海で死んだ。1979年にアイスランド沖で約2歳の時に捕獲された雄のシャチ「ケイコ」だ。

 ケイコは生涯の大半を海洋テーマパークで過ごした後、1993年制作の米人気映画『フリー・ウィリー(Free Willy)』に出演。一躍有名になったが、今度は世界規模の大々的なキャンペーンが展開され、アイスランドで自然環境に戻されることが決まった。その後、アイスランドからノルウェーへと向かい、2003年12月に27歳で死んだことが確認されている。

 映像は、レイサフィヨルドで泳ぐ姿が見られたシャチ。13、17、14、16、19、11日撮影。(c)AFP/Olivier MORIN with Gael BRANCHEREAU