【1月30日 AFP】18-19イングランド・プレミアリーグは29日、第24節の試合が行われ、消息不明となったエミリアーノ・サラ(Emiliano Sala)の加入先であるカーディフ・シティ(Cardiff City)は、行方不明の報から初の公式戦となるアーセナル(Arsenal)戦に臨み、試合前には1分間の黙とうをささげた。

 サラは19日、フランス・リーグ1のナント(FC Nantes)から推定1700万ユーロ(約21億円)の移籍金でカーディフへ加入することが決まり、2日後の21日にカーディフでの初練習に参加するべくフランスから小型機で英国へ向かったが、途中のイギリス海峡(English Channel)でパイロットとともに消息を絶った。

 この日、アーセナルとのアウェーゲームに臨んだカーディフでは、エミレーツ・スタジアム(Emirates stadium)へ駆けつけたファンが「私たちのブルーバード、エミリアーノ。君のプレーと得点は見られなかったが、いつまでも愛している」と書かれた横断幕を広げた。試合前には、アウェーサポーター席でアルゼンチンのユニホームと国旗が揺れる中、両チームの主将がピッチに花束を添えた。

 カーディフの指揮官で、サラの獲得にも尽力したニール・ウォーノック(Neil Warnock)監督は、指導者キャリアで最もつらい1週間だったと話し、「指導者を始めて40年ほどになるが、これまでで最もタフな1週間だった。それも圧倒的にだ」とコメントした。

「胸が張り裂けそうな1週間で、いまだに状況を受け止めきれていない。彼のことには、かつてないほど打ちのめされている。彼と会って、この6週間から8週間はずっと話をしてきたんだ」

 サラが一帯で消息を絶ったとみられるガーンジー(Guernsey)島の警察は、24日に公式の捜索を打ち切ることを発表したが、民間の手を借りた捜索のための寄付の募集は続いており、クラウドファンディングのサイトには、一流選手を含めた4500人以上から36万ユーロ(約4500万円)が集まってきている。

 試合のマッチデープログラムでは、アーセナル主将のローラン・コシールニー(Laurent Koscielny)がフランス代表時代の2015年に経験したパリ同時襲撃事件と比較しながら、「こういうときの試合はつらい。選手はプロであると同時に感情があるから、悲しみに包まれる」「世の中にはサッカーよりもはるかに重要なことがあり、明日がどうなるかは誰にもわからない。捜索へ向けた動きが続いていることをとてもうれしく思う」と語った。

 試合はアーセナルが2-1で勝利。後半途中にピエール・エメリク・オーバメヤン(Pierre-Emerick Aubameyang)のPKで先制すると、終盤にアレクサンドレ・ラカゼット(Alexandre Lacazette)が追加点を挙げた。カーディフは後半アディショナルタイムにナサニエル・メンデスラング(Nathaniel Otis Mendez-Laing)が1点を返したが及ばなかった。(c)AFP