【1月25日 AFP】フランス・リーグ1、ナント(FC Nantes)のヴァイッド・ハリルホジッチ(Vahid Halilhodzic)監督は24日、元所属選手でアルゼンチン出身のFWエミリアーノ・サラ(Emiliano Sala)選手(28)が、小型機に搭乗したままイギリス海峡(English Channel)で消息を絶ったことに「完全に打ちのめされた」と明かした。また、クラブの練習施設に集まったファンも、「家族の一員」を失ったようだと悲しんでいた。

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 2015年にナントに加入したサラ選手は今季のリーグ戦で12得点を記録し、イングランド・プレミアリーグで降格危機に直面しているカーディフ・シティ(Cardiff City)と推定1700万ユーロ(約21億円)の移籍金で3年半の契約にサインした。21日夜にカーディフで新たなキャリアを開始するため、ウェールズに向かっていた同選手の生存は「極端に低い」として、警察は24日に捜索の打ち切りを発表した。

 ハリルホジッチ監督は、「私がこのチームに来たときから、彼とはたくさん話をして特別な関係を築いていた。彼との会話は…」と言葉を詰まらせて泣き始めた。落ち着きを取り戻して話を続けられるようになると、震えたままの声で「自分にとっては、スポーツ人生で最も厳しい時間であると言えるだろう。他にもつらいことはあるが、スポーツに関しては、今回の出来事に完全に打ちのめされた」と付け加えた。

 仏南部ラシャペルシュルエルドル(La Chapelle-sur-Erdre)にあるナントの練習施設では、チームとスタッフ陣が、祈りをささげるために集まったファンと合流。施設では「希望を持ち続けよう」と書かれたサラ選手の写真が含まれたポスターがフェンスに貼られていたほか、花束やろうそくなども並べられていた。

 ファンはサラ選手が消息を絶ったことに精神的ショックを受けながら、徹夜で祈りをささげていた。28歳のファンはAFPの取材に対し、「彼が行方不明になっていることは分かっているけれど、まだほんの小さな希望は残されている」と語り、また他のファンは「(サラ選手の)写真を見ていると、あなた(記者)と話していても涙が出てくる。家族の一員を失ったような気持ちだ」と続けた。

 この日の練習後、ナントの選手とスタッフは集まった300人以上のファンから拍手を送られていた。主将のヴァロンタン・ロンジェ(Valentin Rongier)は、「僕たちと一緒に立ち上がってもらいたい」とファンに呼びかけると、「決して泣きごとを言わず、信じ続けてほしいと訴えているご家族の意思を尊重してくれ」「こうした理由から、僕たちは1分間の黙とうや拍手はしない。なぜなら、まだ希望を持っているからだ」と語った。(c)AFP/Frederic HAPPE