【1月15日 AFP】アメリカンフットボールと野球の二刀流選手である米オクラホマ大学(University of Oklahoma)のカイラー・マレー(Kyler Murray)が14日、今年の米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)ドラフトにエントリーしながらも、同国大リーグ(MLB)でキャリアを歩む選択肢を残した。マレーの代理人は、同選手が同時に両競技でプレーする計画はないと示唆している。

 21歳で米テキサス州出身のマレーは、昨年のMLBドラフトで外野手としての才能が認められてオークランド・アスレチックス(Oakland Athletics)から全体9位指名を受けた後、全米大学フットボールでプレーして年間最優秀選手に贈られる2018年のハイズマン賞(2018 The Heisman Memorial Trophy Award)も受賞した。

 マレーはツイッター(Twitter)で、大学でのキャリアを終わらせて今年のNFLドラフトにエントリーするための書類を期限までに提出したと投稿。しかし、それは野球とアメフトのどちらかを選択するまでの時間稼ぎにすぎない。

 アスレチックスが来月15日から春季キャンプを開始する中で、NFLは同26日からドラフト候補の実力を分析するスカウティングコンバインを始めることになっており、マレーは競技を選択する前に自分の能力をピークに持っていく時間が必要になるとみられる。

 年間162試合をこなすMLBか、身体的に過酷でありながらも年間16試合で高額な給与を稼げるNFLを選ぶか決断する前に、NFLでプレーする選択肢を残して各クラブで自分の価値を模索するための時間を稼ぐことは、マレーにとっては賢い方法だといえる。

 母方の祖母が韓国人であるマレーは、父親がカレッジフットボールの元QBで、おじが元MLB選手という家系に育った。身長178センチでQBとしては2005年に現役を引退したダグ・フルーティー(Doug Flutie)氏以来の小柄な選手だが、2018年シーズンはパスで合計4361ヤードを投げてタッチダウン42本、ランでも1001ヤードを稼いでタッチダウン12本を記録した。

 オクラホマ大学の野球チームで昨年、打率.296、本塁打10本、打点47、二塁打13本、四球28をマークしたマレーは、アスレチックスとマイナー契約を結び、466万ドル(約5億円)のボーナス契約で大学最後のシーズンをプレーすることが認められていた。報道によると、前週アスレチックスは同選手と話し合い、NFLのスカウティングコンバインに参加するためにキャンプを離れることを許可するよう、契約内容を一部変更する必要があるという。

 マレーは野球ではMLB入りを果たす前にマイナーリーグで修業を積むことになるとみられる一方で、アメフトではNFLのチームで中心選手としてすぐにプレーする可能性がある。

 これまでNFLとMLBの二足のわらじを履いていた選手として有名なのは、1987年から1990年までNFLのロサンゼルス・レイダース(Los Angeles Raiders、現オークランド・レイダース<Oakland Raiders>)とMLBのカンザスシティ・ロイヤルズ(Kansas City Royals)でプレーしたボー・ジャクソン(Bo Jackson)氏となっている。同氏はNFLのプレーオフで臀部(でんぶ)を故障し、アメフトのキャリアは終わりを告げた。(c)AFP