■出産はタイや中国で

 今年、プノンペンでは2件の摘発により、人身売買に絡む容疑で40人以上の代理母が逮捕された。代理出産を支援するオーストラリアのNPO「ファミリー・スルー・サロガシー(Families Through Surrogacy)」のサム・エバリンハム (Sam Everingham)代表は、「この女性たちは、非倫理的なビジネスの被害者だ」と述べ、教育機会に恵まれなかった人々には、カンボジアに禁止法があることすら理解できていないと指摘する。

 同代表によると、代理母として妊娠したカンボジアの女性たちは、発覚を避けるためにタイや中国に移動させられて出産するという。そして移動先の病院では、職員に賄賂を渡すことで、代理出産を依頼した女性の名前に変更された偽の出生証明書を発行してもらえるのだ。

 こうした現状を受けてカンボジア政府の人身売買対策委員会では、代理出産禁止法に関する広報活動に力を入れている。特に対象としているのは、衣料品工場で働く貧しい女性労働者らだ。

 妊娠4か月となったインさんは、この「秘密のビジネス」の中で果たしている自らの役割に不安を募らせている。妊娠第2期に入り、新たな不安の種も増えた──外国への渡航だ。

「別の業者から、妊娠の残りの期間は中国で過ごすことを説明された。その方が私にとっても、生まれてくる子どもにとっても安全なのだと言われた」 (c)AFP/Sophie DEVILLER and Suy SE