【12月30日 AFP】2016年に中国政府が「一人っ子政策」を廃止すると、2人目の子どもが欲しくても出産適齢期を逃してしまった中高齢のカップルは、代替手段として代理出産に目を向ける。

 しかし、中国は代理出産ビジネスを禁止している。そのため、規制が整備されていない東南アジア諸国へと向かう夫婦も少なくない。

 カンボジア政府も中国の一人っ子政策廃止と同年、自国の貧しい女性たちが利用されることを恐れて、金銭を介する代理出産を禁止した。だが、仲介業者、そして出産適齢期にある若い女性たちは、金銭のために法をすり抜けているのが現状だ。

 カンボジア人女性のインさん(仮名、24)は仲介業者から、9000ドル(約100万円)で中国人夫婦のために子どもを出産しないかと話を持ち掛けられた。首都プノンペンから3時間ほど離れたコンポントム州でコメ農家を営むインさん一家にとっては大金だ。

「村の女の子たちからどんな目で見られるのかと考えたら怖くなった。最初はためらった」とインさんは語る。しかし経済的な厳しさから、最終的にはオファーを受けることを決めた。その後、プノンペンへと移り、同じ境遇の女性たちが暮らす一軒家に住み込んだ。

 カンボジア国内、そして世界に広がる仲介業者のネットワークは表からは見えない。ただ、強制捜査や摘発事例からその需要の高さはうかがい知ることができる。

 専門家らによると、代理出産を希望する夫婦の側が払う額は4万~10万ドル(約440万~約1100万円)で、代理母になる女性が実際に手にするのは通常1万~1万5000ドル(約110万~約150万円)程度だという。

 ジョージアを拠点に出産・不妊治療ビジネスを手掛ける「ニューライフ・グローバルネットワーク(New Life Global Network)」のマリアム・ククナシュビリ(Mariam Kukunashvili)代表は、代理出産が禁止される前まで、カンボジアで代理母あっせん会社を経営していた。同代表によると、今でも100を超える中国系およびアジア系のあっせん業者が、カンボジアでビジネスを続けているという。「禁止しても、業界ごと闇に潜るだけ」と語るククナシュビリさんは、必要なのは全面禁止よりも規制だと指摘する。