【12月15日 東方新報】中国河南省(Henan)の一家の穏やかな生活は、思いもかけぬ事故で一変した。17歳の娘が全身にやけどを負い、父親は悲嘆に暮れた。父親は自分の左足の皮膚を娘の植皮手術に提供し、娘の手術の予後と今後の治療のため、さまざまな手を尽くして資金援助を求めた。

 父親は「善意の方々のおかげで希望を見いだせた。娘とともに人生を歩んでいき、娘がまだやれていないことをやらせてあげたい」という。

 10月3日は、李志鋒(Li Zhifeng)さんにとって思い出したくない日だ。

 李さんの家は原陽県(Yuanyang)斉街鎮高北村にある。普段は、武漢市(Wuhan)まで出稼ぎに出ているが、10月の国慶節に家に戻ってきた。かわいがっている娘の李辰玺(Li Chenxi)さん(17)と久しぶりに家で一緒に過ごすのを楽しみにしていたのだ。

 その日の午後、李さんは妻の鄭国紅(Zheng Guohong)さんと一緒に畑に行って農作業をしていた。辰玺さんら2人の子供たちが家で宿題をしていると突然、家の中で異音が響いた。辰玺さんが台所に行き、何が起こったのかドアを開けようとすると、「ドーン」という音とともに液化ガスの炎が猛然と噴き出し、辰玺さんは炎に飲み込まれた。

 まもなく、爆発音を聞いた隣の住人が駆け付け、水をかけて火を消し止めた。

 その日、辰玺さんはTシャツに短パンを身に着けていたが、Tシャツは焼け落ち、全身の皮膚はプラスチックのように白く変色していた。新郷市(Xinxiang)にある第二人民医院火傷科に運ばれ治療を行い、全身を包帯で包まれた。

 医師の診断によると、辰玺さんの全身のやけど面積は80%を超える重症だった。危険な時期は過ぎたものの、やけどによって負った傷は皮膚の移植を行ってふさぐ必要があり、将来的にはリハビリも必要とのことだった。

 またやけどの面積が大きく、自分の体に無傷の皮膚はほとんど残っていないので、直系家族の皮膚を移植するしかないと言った。そこで、父親の志鋒さんは膝関節周辺を除く左足の皮膚をすべて提供することに同意した。

 志鋒さんは、自分の皮膚を移植することは娘に隠した。植皮手術後の1か月間、父親はベッドから降りられなかった。娘から父親のことを尋ねられても、母親は仕事でいそがしいのよ、と言うだけだった。