■締め出される画家たち

 ここで仕事をしているアーティストたちは、観光客相手のスケッチや、さらに緻密なパリの風景画などを販売して生計を立てているケースが多い。だがそうした彼らでさえ、この町から追い出されるのではないかと不安を抱いている。

 芸術家団体「パリ・モンマルトル協会(Paris-Montmartre Association)」会長のムバルキ(M'Barki)氏も、地元のカフェやレストランが次第に舗道まで占領するようになっている状況に反発している。

 最近定められた法令によって、アーティストには舗道で商売をする権利が与えられたが、そこにはレストランのテーブルや椅子が次々と置かれている。

 1970年からモンマルトルで仕事をしているというムバルキ氏は、「私たちは貧しい暮らしをしているのに、テラス席は広がっている」「スペースの半分は、私たちに与えられるべきだ」と憤り、「もしそうしてもらえないなら、私たちはここを離れる。私たちがいなくなれば、ここはもはやモンマルトルではなくなるだろう」と言い添えた。(c)AFP/Loïc VENNIN