【12月8日 AFP】前週米コロラド州ビーバークリーク(Beaver Creek)で行われたアルペンスキーW杯の男子大回転で優勝したドイツのシュテファン・ルイッツ(Stefan Luitz)が、1本目と2本目の滑走の間に酸素吸入を行い、国際スキー連盟(FIS)の反ドーピング規則に違反したとして調査対象となっている。

 FISは7日、AFPの取材に対して、イタリアとスイスの記者によってルイッツが酸素を吸入しているとみられる写真の存在が明らかになったとして、この問題を調査していることを公表した。

 大会中の酸素吸入は、世界反ドーピング機関(WADA)では禁止されていないものの、FISの反ドーピング規則では2016年6月から違反であることが明確に記されている。

 ドイツチームは誤りを認めており、チーム監督であるマティアス・バートホールド(Mathias Berthold)氏は報道陣に対して、「われわれコーチ陣とドクターは、極めてばかげた決断をした」「FISの規則ではなく、WADAの規則を参考にしてしまった」と説明した。

「ドクターに相談して規則違反にならないことを確認した。この標高で多くのけが人が出ていることから、酸素の使用を決めた」

 ルイッツや調査対象となっている他のドイツ選手は、現時点で大会から除外されていない。今週末に仏バルディゼール(Val d'Isere)で行われるW杯を控えた主将の会合で、FISのレースディレクターを務めるマーカス・ワルダー(Markus Walder)氏は、ルイッツらが8日の大回転に出場することは認められていると述べた。

「ビーバークリークで大回転が行われた後、どのチームからもクレームはなかった」「調査は現在も進行中である」

 ルイッツは故障から1年ぶりにゲレンデに復帰したばかりの中でW杯初優勝をマークしたが、現在は失格の可能性に直面している。失格処分が下された場合は、ルイッツの勝利はオーストリアのエース、マルセル・ヒルシャー(Marcel Hirscher)に渡ることになる。(c)AFP