【12月4日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「オシリス・レックス(OSIRIS-Rex)」が3日、探査目標である地球近傍小惑星「ベンヌ(Bennu)」に到達し、同惑星とのランデブー(接近飛行)を開始した。同機は2016年、小惑星から塵(ちり)のサンプルを地球に持ち帰る初のミッションのため、米フロリダ州ケープカナベラル空軍基地(Cape Canaveral Air Force Station)から打ち上げられた。

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 オシリス・レックスはグリニッジ標準時(GMT)午後5時10分(日本時間4日午前2時10分)ごろ、エンジンを止めてベンヌとのランデブーを開始した。

 ベンヌは太陽系初期から残存する小惑星で、直径約500メートルと小山ほどの大きさしかなく、人工の宇宙飛行体が周回したことのある天体の中では最も小さい。

 同機のミッションの総費用は8億ドル(約910億円)。科学者らは、今回のミッションによって太陽系の形成初期の様子について解明が進むことや、小惑星上の金属や水などの希少資源を発見する方法が見いだされることを期待している。

 オシリス・レックスには5つの科学機器が搭載されており、今後1年半かけてベンヌの詳細な地図を作成する予定。これを参考に、科学者らがサンプルの採取地点を決める。

 その後の2020年、同機はロボットアームを伸ばしてベンヌと接触し、表面から約60グラムのサンプルを採取する。

 小惑星からのサンプル収集は、すでに2010年、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が成功させている。JAXAの小惑星探査機「はやぶさ(Hayabusa)」は目標の天体に急降下で着地し、数マイクログラムの物質を採取。2010年に地球に帰還した。

 ベンヌでのミッションが計画通り進んだ場合、オシリス・レックスは採集された物質を小型の容器に入れ、2023年9月末に地球に帰還する。(c)AFP/Kerry SHERIDAN