【12月2日 AFP】アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催された20か国・地域(G20)首脳会議は1日、首脳宣言を採択して閉幕した。会議では米国が気候変動に対する地球規模の行動の支持を拒否し、保護主義と闘うとのこれまで盛り込まれてきた文言を骨抜きにしたため、米国と他のG20参加国との間で意見の相違が目立った。

 首脳宣言では、米国以外のすべてのG20参加国が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」は「撤回不可能」だとしてそれを完全に履行することで合意したと明記された。「米国はパリ協定から脱退する意思を改めて表明している」とも記された。

 ホワイトハウス(White House)の高官によると、気候変動問題で米国と対立する「連合国」の一部がいら立ち始めており、トルコやロシア、サウジアラビアといった複数の国々は首脳宣言を最終的に支持したものの、署名に尻込みしていたという。

 匿名を条件に語った高官は、「雇用をなくす協定から離脱する理由についてわが国の見解を明確にありのまま記して説明する一文を盛り込ませた」と述べた。パリ協定は米経済界に不利益となるというドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の主張に沿うものだ。

 高官は「連合国のごく一部のいら立ちが明らかになり始めている。トルコやサウジアラビア、ロシアといった国々は、後でなにか言い始めるかもしれない」と述べ、「あらゆる点で本当に大成功だったと思う」と語った。

 パリ協定は2015年に合意され、米国はバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領在任中の2016年に批准したが、トランプ政権になって離脱する意向を示した。ロシア、トルコ、イランは未批准となっている。

 交渉に近いフランス筋によると、「一定数の国々」が「パリ協定へのコミットメントの確約」をちゅうちょしていたため、19か国をまとめるのに大論争があったという。(c)AFP