【11月19日 AFP】2012年にオランダの美術館から名画7点が盗まれた事件で、ルーマニアの検察当局は18日、うち1点がルーマニア国内で見つかった可能性があると明らかにした。しかしその後オランダメディアは、同作を発見した通報者がその日のうちに、作品は偽物であり、映像作品の監督2人の「売名行為」の犠牲になったと説明したと伝えた。

 2012年10月の事件では、オランダのロッテルダム(Rotterdam)にあるクンストハル(Kunsthal)美術館から、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)やクロード・モネ(Claude Monet)、ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)、ルシアン・フロイド(Lucian Freud)らの絵画計7点が、わずか3分の間に盗み出された。当時、地元メディアは「今世紀最大の絵画盗難事件」と報じた。

 2014年にはルーマニア人4人が収監され、絵画の保険業者への1800万ユーロ(約23億円)の支払いも命じられている。

 ルーマニアの検察官はAFPの取材に対し、同国当局がクンストハル美術館から盗まれた名画のうちの1点である「かもしれない」絵画を保持していると確認。さらに調べる必要があると述べていた。

 消息筋は、これがピカソの「アルルカンの頭部(Tete d'Arlequin)」の可能性があるとしていた。同作には80万ユーロ(約1億300万円)の価値があるとみられている。

 しかし、この盗難事件を題材に小説を執筆した作家のミラ・フィティク(Mira Feticu)氏によると、「絵画が隠されている場所に関する指示」が書かれた差出人不明の手紙を10日ほど前に受け取り、盗まれた作品を発見したと思い込んだという。

 ルーマニア系のフィティク氏はAFPに対し、手紙の指示で同国東部の森へ行き、プラスチックで覆われた絵画作品を掘り起こしたと説明。

 しかし18日の夜になってフィティク氏はオランダ放送協会(NOS)に対し、ベルギー・アントワープ(Antwerp)の映像作品監督2人による「演出」の犠牲になったと認めた。

 両監督がフィティク氏に宛てた電子メールによると、問題の手紙はオランダの有名な贋作(がんさく)作家ヘルト・ヤン・ヤンセン(Geert Jan Jansen)を特集したプロジェクトの一環で送られたものだったという。

 両監督は自らのウェブサイトで、「このパフォーマンスの一部は数か月前からひそかに準備」され、ピカソの「アルルカンの頭部」を取り戻すことを意図したものだったと告白している。(c)AFP