【11月15日 AFP】欧州連合(EU)と英政府は14日、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐる合意の詳細を盛り込んだ草案を共同発表した。草案は今後、EU加盟各国の首脳と英議会の承認を受ける必要がある。

 草案は585ページからなり、テリーザ・メイ(Theresa May)首相率いる英内閣の承認を受けた後、ブレグジット以降の英・EU関係の展望をまとめた政治声明と併せて発表された。

 メイ首相は内閣の承認を取り付けたものの、今後も困難は続く見通し。同首相は、来月の議会で草案の承認を求める際、これまでより強い抵抗に遭う可能性があることを認めている。

 閣僚の辞任や、与党内のEU懐疑派による首相降ろしがうわさされる中、英ポンドは乱高下し、最終的に持ち直したものの一時1パーセント下落した。

 草案の発表を受け、より明確なEU離脱を支持する側と、英国が独自の道を行く将来を不安視する側の双方からメイ首相への批判が上がっている。

 草案によれば、英国がEUを離脱する来年3月29日から1年9か月間が移行期間とされ、双方がアイルランドと英領北アイルランドの間の陸上国境をめぐる協議を続ける。この間に新たな合意が達成されなければ、いわゆる「バックストップ(安全策)」として英国全体がEUの関税同盟にとどまることになる。

「バックストップ」はアイルランド・北アイルランド間に厳格な国境管理が復活することを避けるための措置。

 現行の「バックストップ」案は北アイルランド地域に特別な地位を与えており、英国のEU離脱後も同地域は欧州単一市場にとどまることになっている。

 スコットランドでは草案に対する評価が低く、英国からの独立を志向する親EU派のスコットランド行政府も合意に疑問を呈した。スコットランド民族党(SNP)を率いるニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)行政府首相は、スコットランドが欧州単一市場を離れる一方、北アイルランドに特別な地位が与えられ、実質的に同市場にとどまることに反発している。(c)AFP