【11月16日 CNS】100グラム入りの米、50ミリリットルのウィスキー、1人前の火鍋、ミニ洗濯機……中国が静かに迎えた「単身経済」は、1人分の商品販売の急速な拡大を呼んでいる。

 天猫(Tmall)が発表した報告書によると、過去10年間で、日用消費財から家電、家具・インテリア、化粧品・スキンケアなどに至るまで、商品の縮小化と機能の細分化が進んだ。これは、単身経済が中国で勃興したことを表す。多くの若者が「単身」という選択肢を自ら進んで選ぶようになり、単身生活の質への要求は高くなってきた、という。

 天猫のオンラインショップでミニ電子レンジとミニ洗濯機を買った人の増加が、最も速い。過去1年間でそれぞれ970%と630%だ。100グラム入りの米、200ミリリットル入りの赤ワインも同カテゴリーの商品の中では特に多い。「お一人様」の量の商品が大きな流れとなりつつある。本来、多人数で楽しむ鍋でさえも、1人で食べることが流行となり、昨年1年間で「速食小火鍋(ミニ火鍋セット)」を購入した人の数は前年同期比で208%増だった。

 機能が細分化されたミニ家電は、新種の製品が次々と誕生している。代表的な新製品は、ミニAIスピーカーで、今年の販売は16000%増に達する。お一人様商品の出現により、家庭内の景色はいつの間にか変わってきた。2018年にミニ冷蔵庫を購入した人の数は前年同期比で33%増だ。この種の冷蔵庫はベッドの脇に置き、酒や果物、美顔マスクなどを冷やすのに使われる。ミニ投影機も「双11(独身の日)」に10万人を超える人々が買物かごに入れた。

 上海社会科学院青少年研究所の楊雄(Yang Xiong)所長は、「経済水準の向上に伴い、人々の価値観が変わってきた。結婚や子育て、家計維持が最重要ではなくなり、『単身経済』が興った。経済発展と産業構造の転換に新たな選択肢が生まれている」と言う。

 ビッグデータも企業家が未来を見通す役に立っている。100グラム入りの米は、まさに天猫がビッグデータの中で需要を発見し、売れ筋品となったものだ。

 天猫の王丹(Wang Dan)総監は、「中国の単身者は消費を押し上げていく主力だ。この流れは、今後長く続く。商品は小さくなり、機能は細分化されていく。これは我々が経験しつつある新しい時代の縮図だ」と語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News