【11月17日 東方新報】中国・雲南省(Yunnan)シーサンパンナ・タイ族自治州(Xishuangbanna)の森林公安局はこのほど、農村で飼育されていたクマ1頭を保護し、同州の野生動物収容保護センターに移送したことを明らかにした。

 10月31日午後1時、雲南省モウ臘県(Mengla)森林公安局は、ある村民からの救助を求める通報を受けた。「体重150キロ近くあるツキノワグマを引き取って欲しい」

 ツキノワグマの飼い主である咪さんは、息子を通じて助けを求めてきた。2人の話では、当初、クマを保護できる動物機関を自分たちで探していたが見つからなかったという。2人はタイ族でラオス国境に近い場所で暮らしている。

 森林公安は数百キロも離れた現場に到着。鉄のおりに隔離されたツキノワグマは成獣で体長約1.8メートル、十分な凶暴さがうかがえた。

 このクマは国家2級保護動物のオスのツキノワグマで、嗅覚が鋭敏で攻撃性が強い。「野生動物保護法」によると、野生のツキノワグマや関連する製品の売買などが禁じられている。

 ツキノワグマの飼い主である咪さんは70歳過ぎの高齢者で、6年前に小グマが路上で販売されているのを見かけた。小グマは当時、体長約40センチ、体重は5キロ程度で衰弱していたという。小グマが虐待されてしまうのではないかと心配した咪さんは、クマを助けてあげようとして120元(約1960円)で小グマを購入。飼育を始めて現在に至るという。

 咪さんによると、クマには主に麺やバナナ、リンゴ、カボチャなどの食べ物を与えていたという。しかし自分も80歳を目前に、エサの容器すら持ち上げることが困難になった。咪さんにはこれ以上クマの世話をする元気も無く、クマをふさわしい落ち着いた場所に返すことを望んでいた。

 同州野生動物保護センターの専門家によると、クマの健康状態は至って良好だが、人工下で長い間育てられたため、野生で生活する能力がすでに失われているという。

「野生動物保護法」の規定では、指定された野生動物およびその動物に関連した製品の売買を禁止しており、違反者はその野生動物と関連製品の価値に相当する2倍から10倍以下の罰金、また犯罪を構成する要素がある場合には法的に刑事責任を問われる。しかし、同州森林公安局職員の話によると、クマの購入に際して咪さんに悪意が認められなかったことから、罪は問われていないという。(c)東方新報/AFPBB News