【11月6日 AFP】米国オリンピック委員会(USOC)が5日、性的虐待スキャンダルで体操界を揺るがせた同国体操連盟(USA Gymnastics)の組織解体に乗り出した。USOCのサラ・ハーシュランド(Sarah Hirshland)最高経営責任者(CEO)はコメント文で、国内統括団体としての同連盟の認可取り消しに向けて手続きに入ったと公表した。

 ハーシュランドCEOは米体操連盟に宛てた公開書簡で、同連盟が「組織の改革、リーダーシップの立て直し、そして連盟の全メンバーに対する役割を効果的に果たすこと」に失敗したと指摘すると、選手に対して「あなたたちは、もっと良い扱いを受けるべきである」と述べた。

 元チーム医師のラリー・ナサール(Larry Nassar)被告による性的虐待スキャンダルの余波で再建が困難を極めている米体操連盟は、自ら危機を招くなど次々と問題が浮上して窮地に立たされており、組織の面目が失われている中でUSOCから衝撃的なニュースを突き付けられた。

 2012年と2016年の五輪金メダリストを含めて250人以上にも及ぶアスリートに虐待を加えていたとして、ナサール被告は今年に終身刑を言い渡された。米体操連盟も被告の罪を隠蔽(いんぺい)していたと訴えられており、スキャンダルが発覚してから先の見えない危機に直面する中で、完全に四面楚歌(そか)の状況に置かれていた。

 USOCは以前から、米体操連盟が組織としての振る舞いを正さない限り、最大の制裁として統括団体としての認可を取り消す用意があると警告していた。そして同日、ハーシュランドCEOは、熟慮を重ねた上で今回の決断に至ったとして、「この状況下で完璧な解決策はない」「認可取り消しを模索することは、簡単に出た結論ではない」と述べた。

「短期的な目標として、われわれに課された仕事は、USAG(体操連盟)の選手がフィールド内外で必要なサポートを受けられるようにしていくことである」「そのための計画を立案している。長期的には、現存あるいは新しい組織であろうとも、認可を受けたNGB(National Governing Body、国内の統括団体)が責任をもって米国の体操選手を指導し、これから数十年先もアスリートやクラブが競技を行っていける地域社会を構築していくことが極めて重要である」

「われわれは、そのような組織を確立し、その構築の手助けをする用意ができている」 (c)AFP