【1月19日 AFP】米体操女子の元五輪選手マッケイラ・マロニー(McKayla Maroney)さんが18日、同国体操連盟(USA Gymnastics)の元チームドクターで100人以上の女子選手に性的暴行を加えたとして罪に問われているラリー・ナサール(Larry Nassar)被告から性的虐待を受けたことで、「心の傷」が残ったと訴えた。

 米ミシガン州で行われているナサール被告の裁判では、今月16日から被害者が心をかき乱すような証言を行っている。この日検察官が読み上げた証言で、マロニーさんは同被告から数年間にわたり虐待を受け、それが競技をやめるまで続いたことを明らかにした。中でも最も悪質だったのは、東京への遠征中にナサール被告から睡眠薬を与えられ、目が覚めると性的いたずらをされていたことだったという。

 当時15歳だったマロニーさんは、「あの夜は死んでしまおうと考えました。彼は私の信頼を裏切り、私の体を虐待しました。そして、決して消え去ることのないであろう心の傷を残したのです」と訴えると、「代表チームのキャンプには親の帯同が認められていなかったため、母と父はナサールの行為を監視できませんでした。このことで私の愛する家族には、恐ろしくも不当な罪悪感という重荷が押しつけられたのです」とつけ加えた。

 同日には、ナサール被告の虐待行為を最初に公表した被害者の一人であるジェイミー・ダンツスチャー(Jamie Dantzscher)さんも、感情をあらわにしながら証言を行った。法廷では、すっかり体がやせ細り眼鏡をかけた54歳の被告に向かって、同被告が虐待を繰り返していたことを指摘すると、「あなたは図々しくもシドニー五輪の、私の部屋、私のベッドで虐待した」と話した。

 10件の性犯罪行為で有罪を認め、終身刑に直面するとみられているナサール被告は、早ければ19日に判決が言い渡されることになっている。

 ミシガン州のローズマリー・アキリーナ(Rosemarie Aquilina)裁判官は同日、被告が自分の精神状態が一連の証言に耐えることができず、審問中に座っていられなくなる可能性があると書いたメモを提出していたことを明らかにすると、「あなたが被害者を餌食にして、彼女たちの人生を台無しにしながら何時間も楽しんでいたことを考えれば、証言を4~5日間聞くことくらい大したことではないはず」と述べた。(c)AFP/Nova SAFO