【10月4日 AFP】英国のジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外相は4日、ロシア軍の情報機関が政治組織や企業、メディア、スポーツ団体などを標的に、世界中で「無差別で無謀な」サイバー攻撃を仕掛けていると非難した。

 英外務省によると、英情報機関・政府通信本部(GCHQ)の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、ここ最近目立っていた多くのサイバー攻撃の黒幕がロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の工作員だったと断定した。

 2017年にウクライナの国際空港やロシアメディアを標的に行われたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「バッドラビット(BadRabbit)」を使った攻撃をはじめ、スイスの世界反ドーピング機関(WADA)へのハッキング未遂など、多くのサイバー攻撃がロシア政府と関連があるという。

 ハント氏は声明を発表し、「こうした行動パターンは、国際法や確立された基準を無視し、罰や損害を受けることなく行動したいという願望を示している」と指摘。さらに「わが国のメッセージは明白だ。われわれは同盟諸国と協力し、GRUによる国際的な安定を損なおうとする試みを暴き、対応していく」と表明した。

 英政府筋によると、2016年の米大統領選前に起きた米民主党を標的にしたサイバー攻撃にも、GRUが「ほぼ確実」に関わっていたと、NCSCは「強く確信」しているという。

 さらに英政府は一連のサイバー攻撃について、最終的な責任はロシア政府にあると非難した。

 英外務省はこうした攻撃について、「甚だしい国際法違反」であり、英国経済に多大な損害をもたらしてきたと指摘。

 ハント外相は「こうしたサイバー攻撃は正当な国家安全保障上の利益にかなうものではない。世界中の人々が干渉されることなく自由に日常生活を送ることや、またスポーツを楽しむことにまで影響を及ぼすものだ」「GRUの行動は無差別で無謀だ。彼らは他国の選挙を妨害したり、干渉したりしようとしている。さらにロシアの企業や市民さえも傷つけようとしている」と警鐘を鳴らした。(c)AFP