【10月6日 AFP】「ニュースを教えて」という呼びかけは、人工知能(AI)アシスタント機能を持つスマートスピーカーの利用者にはおなじみの言葉になった。スマートスピーカーの登場で、各メディアはニュースを伝える新しい手段を手に入れることができたが、増大するIT企業の影響力への懸念も高まりつつある。

 米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)のAIアシスタント「アレクサ(Alexa)」を搭載した「Amazon Echo」や、グーグル(Google)の「グーグルホーム(Google Home)」、アップル(Apple)の「ホームポッド(HomePod)」などのスマートスピーカーを通じて、ニュース速報やニュースのまとめ配信を利用するユーザーが増えている。利用方法はいたってシンプルで、それぞれの機器に話しかけるだけ。希望すればより詳細なニュースも入手可能だ。

 英BBC放送、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)、米公共ラジオ局NPRなどのメディアは、利用者らに最新ニュースを届ける上で必要となる、デジタルアシスタント向けの技術開発に余念がない。

 一方の利用者も、自分の好きなニュースを聞くために、ラジオやテレビではなく、スマートスピーカーを選択し始めている。

 アクセス解析ツール「アドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)」の分析によると、米国でスマートスピーカーを利用している世帯は全体の約32%に上り、日常的に利用しているとの回答も多かったという。

 エジソン・リサーチ(Edison Research)がNPRのために行った調査では、77%の消費者が、スマートスピーカーを購入した最も重要な理由に「ニュース」を挙げていた。また、そのうちの3人に1人は、「その日のニュースの主な項目」をよく聞いていると答えている。

 他方で、英オックスフォード大学(Oxford University)のロイター研究所(Reuters Institute)による米国、英国、ドイツ、韓国の消費者を対象にした別の調査によると、43%の利用者が「最新のニュースを手に入れるため」にスマートスピーカーを利用していると回答している。

 ワシントン・ポスト──アマゾン創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が所有──は、アレクサ搭載のスピーカーを通じて最新ニュースを届けている。利用者がすることは、「アレクサ、何か通知ある?」や「アレクサ、何か聞き逃している?」など話しかけるだけだ。

 米ポインター・インスティチュート(Poynter Institute)のメディアアナリスト、リック・エドモンズ(Rick Edmonds)氏は、音声ニュースの配信はすぐに利益を生み出すものではないが、「各メディアは、より多くの視聴者を獲得するための一つの方法としてこれを捉えている」と指摘している。