【10月1日 AFP】タイの国際空港で警備員が中国人の空港利用者を殴る動画がインターネット上に拡散し、タイ政府が謝罪する事態になった。

 タイを訪れる観光客は年間3500万人で、その4分の1を中国人が占めている。しかし7月にプーケット(Phuket)沖で発生した船の転覆事故で多数の中国人観光客が死亡したことを受けて観光客が減少。タイ当局は観光業への影響を懸念していた。

 9月27日に撮影された動画には、バンコクのドンムアン(Don Mueang)空港で警備員が中国人男性と言い合いになった直後に男性を殴る様子が捉えられていた。これを問題視したタイ政府の最上層部は素早く反応した。

 タイ政府報道官は9月30日、プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相が「憤慨している」と発表。「中国人男性はタイでの滞在先を示す書類を持っておらず、拘束されることを拒否し、空港職員に不適切な態度を取ったが、そのような場合でも空港職員は落ち着いて国際慣行に沿って対応しなければならない」と記者団にコメントした。

 報道官は、警備員の不手際に対する責任を否定できないとして、殴られた中国人旅行者への謝罪の意を示すとともに、空港の幹部職員2人が停職処分を受けたと明らかにした。一人は空港の統括管理者で、その停職期間は30日間だという。さらに、問題を起こした警備員はいずれ解雇されると付け加えた。

 空港当局者によると、中国人男性はジャカルタからの便でバンコクに到着し、別の部屋で待機することを拒否したという。その際に起きた出来事は携帯電話で撮影されていた。男性は強制送還されたが、その時にはすでに動画がインターネットに投稿されていた。(c)AFP