【7月8日 AFP】タイの人気観光地プーケット(Phuket)沖で、中国人観光客らを乗せた船が転覆・沈没した事故で、地元当局は7日、これまでに41人の遺体が収容されたことを明らかにした。タイ史上最悪規模の海難事故となった沈没の現場では、墓場と化した船内を捜索するダイバーらが、赤ちゃんを抱いたまま息絶えた母親たちが水中に浮かぶ戦慄の光景を目の当たりにしている。

「フェニックス(Phoenix)号」は5日、アンダマン海(Andaman Sea)を航行中に荒波にもまれて沈没。死亡が確認された41人は、全員が中国人観光客だった。現在も15人が行方不明となっているが、事故発生から2日が経過しており、奇跡的な生存者発見の望みは薄れている。

 乗客乗員48人が海に飛び込んだり救命ボートに乗り込んだりして生還したものの、乗客らの多くは船室内に閉じ込められたまま、船は深さ40メートルの海底に沈んだ。

 タイでは現在、ダイビング専門家の大半が、同国北部の洞窟に閉じ込められている少年ら13人の救出活動に動員されている。そのため、今回のプーケット沖の事故で遺体収容活動を率いているのはボランティアのダイバーたちだ。

 遺体捜索活動の調整に関わった地元ダイビング専門店の仏人マネジャー、フィリップ・アントルモン(Philippe Entremont)氏は、「想像できると思うが、困難で、トラウマになる経験だ。沈没船の中で、母親に抱かれた子どもたちの遺体が見つかっている」と説明。「だが今私たちにできる最善のことは、遺体を発見して家族の元に返すことだ」と語った。(c)AFP