【9月2日 AFP】ジョン・マケイン(John McCain)米上院議員の葬儀が1日、首都ワシントンのワシントン大聖堂(National Cathedral)で営まれた。2人の元大統領をはじめとする米政界の重鎮が党派の垣根を越えて参列し、マケイン氏が望んでいた政治的な「礼節の精神」への強い支持を表明するとともに、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がもたらした派閥主義や分断を批判した。

 式典は全米でテレビ放映され、数百万人が視聴した。米政界のそうそうたる面々が出席し、現職大統領であるトランプ氏の欠席が際立った。トランプ氏は追悼の辞が始まろうとする矢先、首都ワシントンに背を向けてバージニア州に所有するゴルフクラブに向かった。

 共和党のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元大統領と民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領がトランプ大統領をさりげなく批判した一方、マケイン氏の娘のメーガン(Meghan McCain)さんはあからさまかつ痛烈に批判した。

 メーガンさんがトランプ氏の2016年大統領選のスローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」をもじり、「ジョン・マケインの米国は再び偉大になる必要はありません。米国は以前からずっと偉大だったのですから」と述べると長い喝采が湧いた。

 ブッシュ氏とオバマ氏は、幾度となく党や自分自身よりも国を優先してきたとマケイン氏を称賛。ネオ・ゴシック建築のワシントン大聖堂で党派を超えて一丸となって営まれた葬儀とのけ者にされた形のトランプ大統領は著しい対照を成し、米政治が置かれている異例の状況が改めて浮き彫りとなった。

 2000年米大統領選の共和党候補指名争いで「接戦」の末にマケイン氏を破ったブッシュ前大統領は、激しいライバル関係は永遠の友情に昇華したと心境を語った。オバマ氏はマケイン氏を米国の最善の部分を体現した「非凡な人物」だったとたたえ、「上院をより良きものとし、われわれをより良き大統領とし、米国をより良き国とした」と称賛した。オバマ氏とマケイン氏は2008年米大統領選で激しい闘いを繰り広げたが、お互いを尊重し合っていた。

 所属政党は異なるがブッシュ氏とオバマ氏が言わんとすることは明白だった――マケイン氏が示した手本にならえば米国政治はさらなる高みに達することができ、それを実現しなければならないということだ。