【8月29日 AFP】故ジョン・マケイン(John McCain)米上院議員の死によって共和党内でドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の非常に極端な発言や政策に立ち向かおうとする声がなくなり、共和党に対するトランプ氏の影響力はこれまで以上に高まるものとみられている。

 マケイン氏は党の信念に基づいてスキャンダルまみれの大統領を批判してきたが、同氏の死後、その役目を引き継ごうという意欲を見せる上院議員はほとんどいない。

 一方、トランプ氏は共和党の支持層に依然として高い人気を誇っており、また議会で多数派を占める共和党は11月の中間選挙を控えていることから、共和党の上院議員たちはトランプ政権と足並みをそろえるものとみられている。

 トランプ氏が2016年米大統領選へのロシア介入疑惑とその捜査をめぐって政治生命をかけた戦いを続ける中、マケイン氏の死により右傾化の進む共和党内においてトランプ氏の影響力がさらに高まる可能性もある。

 中間選挙に向けて共和党の候補を決める予備選では、トランプ氏は自身の発言が今も保守的な有権者に対し影響力を持っていることを示したが、上院(定数100議席)の約3分の1、下院(定数435議席)の全議席が改選となる11月6日の本選でどれたけの効力を発揮するかは未知数のままだ。

 民主党全国委員会(DNC)のトム・ペレス(Tom Perez)委員長は28日、「マケイン氏は政治家としての点数稼ぎではなく、民主主義を機能させるために投票していた」と賛辞を送った。

 共和党のジェフ・フレーク(Jeff Flake)上院議員は上院の議場で、「われわれは何者なのか、最良の時にわれわれは何者になれるのか、マケイン氏は指針であり続けており、今もわが国の政治に通用している」「私たちはもっと彼のようになるべく努力していく」と述べた。

 ただ、マケイン氏の後を引き継ぐ気構えのある人物がいるのかどうかは、依然として不透明なままだ。(c)AFP/Elodie CUZIN