【8月24日 AFP】米国は23日、中米エルサルバドルが台湾と断交して中国と国交を樹立したとの発表を受け、中国が中台関係の不安定化を招いていると非難した。これに対し中国側は、「無責任」な批判だと反発した。

 ホワイトハウス(White House)は声明で、「中国による両岸関係の不安定化と西半球への政治介入に抗議し続ける」と表明。さらにエルサルバドルの決定は「同国のみならず、米州全体の経済の健全性と安全保障に影響を与える」と指摘し、結果としてエルサルバドルとの関係を見直すと強調した。

 これに対し中国外務省の陸慷(Lu Kang)報道局長は定例会見で、「一つの中国」原則を支持するエルサルバドルの決定は「正当で適切かつ公明正大」だと評価し、「一部の国がこれに目を付け無責任な発言をしている。それはエルサルバドルの内政に干渉することにはならないのだろうか。むしろ同域への政治干渉に当たるのではないか。自明のことだ」とこき下ろした。

 台湾と中国は開発途上国における外交上の覇権争いを続けており、外交関係を得る見返りに経済支援やその他の援助を提示してきた。

 蔡英文(Tsai Ing-wen)氏が2016年に総統に就任して以降、中台関係は悪化。蔡政権は台湾が「一つの中国」の一部と認めることを拒否している。

 中国は台湾の同盟諸国に対し、台湾ではなく中国との関係を優先するよう圧力を強化。それに伴い台湾の同盟国数は減少しており、台湾と断交したのはエルサルバドルが今年に入って3か国目、蔡総統の就任後では5か国目となった。

 さらに中国側は、ここ数か月米台関係が目立って良好であることにもいら立ちを募らせている。(c)AFP