【8月25日 東方新報】昨年ごろから、中国・西安(Xi’an)の美食や観光名所の映像がショートムービーアプリの抖音(Douyin)で人気を集めている。

 西安の都市イメージの売り込みは、新興メディアの斬新な感覚と歴史ある古都の文化的息吹きがぶつかり合体することで、顕著な効果を上げ、観光客増につながっている。市旅游発展委員会の発表した統計によると、2018年上期に西安市を訪れた観光客はのべ約1億1471万7500人で、前年同期比45.36%増。観光業の総売上げは、前年同期比で56.32%増えたという。

■動画に映える街、と「私」をSNSに

 西安の新しい観光名所の一つである永興坊(Yongxingfang)の摔碗酒(Shuai Wan Jiu)の動画が17年末に突然、話題を集めた。

 わずか15秒の動画の中に、高く積まれた酒杯のかけらの山の前で客が一碗の酒を一気に飲み干し、酒杯をその場で叩きつけて割り、1年の安泰を「歳歳平安(Sui Sui Ping’an、中国語で酒杯のかけらを意味するSuiと同音)」と念じる姿が映っている。

 観光客が遠くから西安を訪れるのは、この一碗の酒を実際に体験し、交流サイト(SNS)にアップしたいからだ。「摔碗酒」は、西安から全国に広まっていったとも言える。

 現在、抖音に代表されるショート動画のプラットフォームは、突出した多様性と娯楽性が若者に好まれている。

 現在の人々の旅行に対する期待感は、従来の「行ったことのないところに行きたい」というような単純なものではなく、より深い文化的な体験を伴うものなのだ。抖音に表れた西安の旅行文化の現象が、雄弁に語っている。