【8月22日 AFP】米マイクロソフト(Microsoft)は21日、ロシア政府のハッカー集団「ファンシー・ベア(Fancy Bear)」が、米保守系シンクタンク2社の偽のウェブサイトを作成していたことを明らかにした。ロシアが米政界に不和を生じさせる取り組みを拡大しているとの懸念を深める発表だ。

 ファンシー・ベアはロシア軍の情報機関、連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が管理するハッカー集団。マイクロソフトは発表で、ファンシー・ベアがシンクタンク2社と米上院のサイトを模して開設した偽ドメイン6件を、同社が先週に閉鎖したと説明。偽サイトは本物のサイトを訪問しようとしたユーザーから電子メールアドレスとパスワードを収集する目的で作成されていたという。

 ファンシー・ベアは2016年の大統領選以来、立候補者やその選挙活動、政党、投票システムを主に標的としてきており、今回その活動を大幅に拡大させている様子が浮き彫りになった。11月に控えた中間選挙では、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領率いる共和党の支配体制保持が危ぶまれているが、ロシアが選挙への介入を試みているとの懸念が高まっている。

 マイクロソフトのブラッド・スミス(Brad Smith)社長兼最高法務責任者(CLO)はブログへの投稿で、「これらやその他の企てが2018年の選挙準備期間中、米国の両政党に関連する幅広い団体に安全保障上の脅威をもたらすことを、われわれは懸念している」とし、「世界中で民主主義が攻撃を受けていることは明白だ」と指摘した。(c)AFP/Paul HANDLEY