14歳になると、完全に学校に行かなくなり、毎日魚をさばいて売る生活となった。身長は1メートル70センチ、肩幅は広く、がっちりした体形で寡黙な性格だ。香港映画の登場人物に魅せられ、胸に映画の登場人物と同じ図案の入れ墨を600元(約9680円)で彫ってもらった。

 暇な時、凡森さんは小さなプラスチックの椅子に腰かける。両手はオッポ(OPPO)スマホの上を忙しく行き来し、画面からはゲームの戦闘の音が伝わってくる。

 父親の長青さんは、息子に幾度も聞いた。本当に魚をさばくのが好きなのか? それとも出稼ぎに行って、もっともうかる仕事をやりたいのか? 答えは、「やっぱり家で魚を売ることにする。外地に行っても、だまされたらどうにもならない」だった。

■「大もうけ」名前に込め

 家族は、少年を「殺魚弟」と呼んだことはない。幼少時の名前の「大発」(Dafa)と呼んでいる。

 孟家は8人家族だ。父親の長青さんは若くころに父を亡くし、弟はガス中毒で死亡。母親は再婚して別の家に嫁いでいったので、自分一人だけが残された。

 自分の子どもらが同じように孤独になってはよくないと考え、6人の子をもうけた。「自分が疲れるのは問題ない、家の中は人が多いほうが賑やかでよい」という。

 のちに「殺魚弟」として有名になる凡森さんが生まれた時には、息子が将来満ち足りた生活を送るように「大発(訳:大いにもうかる)」と名付けたという。

 現在、孟さんが営む水産業の店名は、「山東蘭陵大発水産」。ネットで有名になった後に市場の看板店が作ってくれた、「殺魚弟」を店名に冠した看板は2~3年掲げたが、風の強い日に一部壊れてしまったため降ろした。