【8月12日 AFP】イスラエル中部テルアビブで11日、アラブ系イスラエル人とその支持者たちがイスラエルをユダヤ人の国家と規定する新たな法律は差別的だと抗議するデモを行った。イスラエルのテレビ局によると、デモには3万人以上が参加し、ユダヤ系イスラエル人たちの姿も見られた。

 これに先立ち4日に行われたデモには、イスラム教の一宗派であるドルーズ(Druze)派の信徒ら数万人が集まり、新法は自分たちを二級市民扱いするものだと抗議していた。

 新法は事実上の憲法に準ずる基本法の一部で、国会(クネセト)で先月可決された。懸念の元となっている条文には平等や民主主義への言及がなく、イスラエルではユダヤ人が優位であるという、民族主義を掲げる極右政治家たちが長年提唱してきたような考えを暗示する内容となっている。

 また、新法はイスラエルをユダヤ人の歴史的な母国と位置づけ、ユダヤ人が「特有の」民族自決権を持つと規定。さらにユダヤ人社会の確立を国益の一部と規定する条文や、ヘブライ語を唯一の公用語とし、共に公用語とされてきたアラビア語を公用語から外す条文も含まれている。

 アラブ系イスラエル人はこの新法によって住宅供給から予算・土地配分まで、あらゆる面で自分たちがあからさまに差別されるのではないかと懸念している。アラブ系イスラエル人は1948年にイスラエルが建国された時に自らの土地に留まったパレスチナ人の子孫で、人口の約17.5%を占める。(c)AFP/Majeda El-Batsh