【8月5日 AFP】イスラエルをユダヤ人の国家と規定した新たな法律は差別的だとして、イスラム教の一宗派であるドルーズ(Druze)派の信徒とその支持者が4日、中部テルアビブで数万人規模の抗議デモを行った。

 この新法は憲法に準ずる基本法の一部として、国会(クネセト)で先月可決された。平等や民主主義への言及はなく、ユダヤ人国家としての在り方が優先することが暗示されている。また、イスラエルを歴史的にユダヤ人の祖国であると位置付け、国内での民族自決権はユダヤ人だけが持つとしている。

 新法はアラブ人の厳しい批判を招き、中でもイスラエル国内で約13万人存在するドルーズ派は強く反発した。その背景にはドルーズ派が他のアラブ人と異なり、ユダヤ人と一緒に兵役や警察業務に就くことを義務付けられている事情がある。

 抗議デモでは、地元メディア推計で5万人を超える参加者がイスラエルの国旗と併せて色鮮やかなドルーズ派の旗を掲げ、平等な処遇を求めてシュプレヒコールを上げた。ドルーズ派の精神的指導者シェイク・ムアファク・タリフ(Sheikh Muafak Tarif)師は演説に立ち、「われわれが国に限りなく忠誠を尽くしているにもかかわらず、国はわれわれを対等とみなしていない」と強調した。

 イスラエル軍の元司令官は、自身と同様に治安機関の上級職に就いたドルーズ派のメンバーが「イスラエル人のアイデンティティーを持ち続けることを希望しており、政府やそのトップが法改正に動くことは可能だと考えている」と語った。(c)AFP