【7月29日 AFP】エジプトの裁判所は28日、2013年に起きた治安部隊とムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)元大統領の支持者らとの衝突に絡んで起訴されていたイスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」の指導者ら75人に死刑を言い渡した。1度の判決言い渡しで下された死刑判決としては最多人数となる。 

 死刑判決を言い渡された75人は、2013年に首都カイロ(Cairo)で治安部隊とモルシ元大統領の支持者が衝突した際に警察官殺害や破壊行為に関与したとして起訴された713人の一部。エジプトの法律に従い、死刑判決の判断は国内最高位のイスラム法官「大ムフティー」に付託された。ただ、大ムフティーの判断に法的拘束力はなく、被告側が上訴する権利は残されている。 

 軍のクーデターでモルシ氏が失脚してから約1か月後の13年8月14日に起きた衝突は、エジプト現代史でも有数の流血の惨事となった。カイロ市内のラバ・アルアダウィヤ(Rabaa al-Adawiya)モスク近くの広場やアルナハダ広場(Al-Nahda Square)で抗議の座り込みを行っていたモルシ派の人々を治安部隊が強制排除。両広場合わせて数時間内に約700人が死亡した。

 この後も数か月にわたって治安部隊と抗議者らの衝突が頻発。数百人が死亡し、大量の逮捕者が出た。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)とヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)によれば、モルシ氏が失脚した13年7月からの1年間で、少なくとも4万人が身柄を拘束されたという。

 モルシ氏を含めムスリム同胞団の指導者ら数百人を被告とするこれまでの裁判は、大人数の被告を一度に迅速に裁き、死刑か長期の禁錮刑判決を言い渡してきた。再審が認められた被告も少なくないが、26人に死刑が執行されている。(c)AFP