■多くの情報が数十年前のまま

 こうしたリスクをより明確に伝えられるよう、UCSはリスクが大きいと考えられる場所を示した地図をインターネット上で公開した。

 UCSの報告書によると、フロリダ州沿岸の海水面は2045年までにさらに55センチ上昇すると予想されている。さらに2100年では、平均約2メートル上昇する恐れもある。同州の平均海抜は約1.8メートルで、90センチ以下の場所も少なくないことを考えると、この上昇幅はとてつもなく大きい。

 海抜の低いタンパ湾(Tampa Bay)地区やマイアミ、キーズ(Keys)諸島などは、海水面の上昇による最も高いリスクに直面している。

 同州サラソタ郡が業務委託をしている氾濫原管理者、デザレイ・コンパニオン(Desiree Companion)氏によると、家を建てたり購入したりする時に参照できる米政府発行の洪水マップは、多くの情報が数十年前のままとなっているという。

 最近、地元の図書館で開催された無料セミナーに出席したコンパニオン氏は、高リスク地区に居住していないので浸水保険は必要ではないと話す住民がしばしばいることに言及し、「居住する場所での降雨を考慮するなら加入した方がよい」と話した。

 図書館の会議室に集まったのはわずか7人で、用意した50席の大半は空席だった。

 現行の洪水マップでは、降水量が24時間で10インチ(254ミリメートル)と定義される「100年に一度の自然現象」が起きるリスクを基準に作成されている。しかし、昨年のハリケーン「ハービー(Harvey)」では、テキサス州での降水量が24時間で51インチ(1295ミリメートル)を記録した。

 コンパニオン氏は、こうした近年の変化を指摘しつつ「皆が洪水地帯にいる」と説明した。