【11月30日 AFP】今後予想されるわずか1メートルの海面上昇によって、米南東部の考古学的に重要な名所旧跡など1万3000か所以上が水没するという研究結果が29日、発表された。

 米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された研究論文によると、墓地、初期の開拓地、米航空宇宙局(NASA)の発射台などの歴史的に重要な場所が水没の危険にさらされ、気候変動の影響は甚大なものとなるという。

 この論文を執筆した米テネシー大学(University of Tennessee)のデービッド・アンダーソン(David Anderson)教授は「先住民や初期の入植者、解放奴隷がかつて住んでいた場所で膨大な数の考古学的遺跡が失われることになる」と述べた。

 アンダーソン教授は1~3メートルといった比較的小さな海面上昇であっても、米国史を象徴する多くの場所が脅威にさらされると述べている。

 また研究論文では、重要な文化遺産として国家歴史登録財(National Register of Historic Places)に含まれる1000か所以上が水没すると指摘されている。

 地球温暖化による海面上昇の影響を最も受けるのは、海岸線が長いフロリダ(Florida)州で、バージニア(Virginia)州やルイジアナ(Louisiana)州も特に高いリスクにさらされている。現在の海面上昇予測を前提にした場合、南東部では今後100年間で300万人以上が家を追われるという。(c)AFP