■2つのアイデンティティー

 ノア氏は、フランスでも米国でも繊細な移民問題に直面すると、極右が移民や移民系の国民を攻撃するために人種をめぐる議論を利用することは認識していると言う。

 だが、フランスのサッカーのスター選手がフランス人であると同時に、アフリカ人でもあることはできないと言われるのは「おかしい」と、ノア氏は主張する。「なぜ両立できないのか?2つのアイデンディティーがあることは、選ばれた人々だけに与えられた特権なのか?それではまるで、フランス人であるためには、アフリカ人としてのすべてを消し去らなければいけない、と言っているようなものだ」

 さらにノア氏は「米国は完璧な国ではない。だが、私がこの国を愛しているのは、人々が米国人であると同時に、自分のルーツも誇ることができるからだ」と述べた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領も、南アフリカの故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の生誕100年を祝う式典で、この話題について、より穏やかに言及した。

 オバマ氏は、多様性の価値の重要性をたたえるためにフランス代表チームを例に挙げ、笑顔で語った。「私にとってはゴール人(ガリア人=フランス人の意)に見えない選手もいた。(だが)彼らはフランス人だ、フランス人だ!」

(c)AFP/Inès BEL AIBA