約2年ぶりにGS決勝進出のジョコビッチ、キャリアへの不安あったと明かす
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【7月15日 AFP】15日に行われるケビン・アンダーソン(Kevin Anderson、南アフリカ)とのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)男子シングルス決勝で、圧倒的に下馬評有利の中で4回目の大会制覇を狙うノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)だが、昨年途中から陥ったスランプの時期には、不安になることもあったと明かしている。
現在31歳で元世界ランキング1位のジョコビッチは、2016年の全仏オープンテニス(French Open 2016)を制して自身12個目の四大大会(グランドスラム)のタイトルを獲得し、キャリアグランドスラムを達成した。しかし、昨年のウィンブルドンで肘を痛めて準々決勝を途中棄権すると、そこから苦難の時期が始まった。
負傷の影響で残りのシーズンは全休し、迎えた2018年シーズンも、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2018)では世界58位(当時、以下同)のチョン・ヒョン(Hyeon Chung、韓国)に敗れて4回戦敗退。BNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2018)では109位のダニエル太郎(Taro Daniel)、マイアミ・オープン(Miami Open 2018)では47位のブノワ・ペール(Benoit Paire、フランス)に敗れた。
バルセロナ・オープン(Barcelona Open Banc Sabadell 2018)でも、同じように140位のマーティン・クリザン(Martin Klizan、スロバキア)に敗れ、世界ランクがここ12年で自己最低位まで下降した全仏で準々決勝敗退に終わると、ウィンブルドン欠場も頭をよぎった。
それでも、大会直前のフィーバーツリー選手権(Fever-Tree Championships 2018)で決勝に進出し、復活の兆しを見せたジョコビッチは、これまでもしのぎを削ってきたラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)との準決勝で、力強いショットを繰り出してかつての姿を取り戻した。そして6-4、3-6、7-6(11-9)、3-6、10-8の激闘の末にナダルを退け、アンダーソンとの決勝に勝ち進んだ。
優勝を逃した2016年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)以来となるグランドスラム決勝進出を決めたジョコビッチは、「確かに不安やフラストレーション、失望にさいなまれた時期はあった。まだ自分は続けたいのだろうかと思い悩む時期がね」と明かしている。
それでもジョコビッチは「困難や障害を乗り越え、グランドスラムの決勝にたどり着くことができた。もちろん、半年前の自分にそう伝えたら、その言葉を励みにしただろう。自分が元のレベルに戻れることを本気で信じていた。自分がこのスポーツで一番になれないかもしれないと思いながらプレーすることは、僕としてはあり得ない」と続けた。
大会第12シードと低いシード順で臨んだ今大会は、2回戦で2番コートを割り振られる屈辱を味わい、地元期待のカイル・エドモンド(Kyle Edmund)と対戦した3回戦ではマナーの悪い観客に激高し、センターコートの雰囲気が自身に「アンフェア」だと主張。日程に苦言を呈したこともあった。
決勝で顔を合わせるアンダーソンとの通算対戦成績は5勝1敗。唯一の敗戦は2008年までさかのぼり、ウィンブルドンでは優勝した2011年と2015年に対戦して勝利を収めているが、今大会で4番目に速い時速225.3キロメートルのサーブを記録し、ここまでサービスエース172本を決めているビッグサーバーとの対戦は、簡単なものにはならない可能性もある。
ジョコビッチも「自分が明らかな優勝候補かは分からない。まったくの五分と五分だと思う」と強調している。
「彼は間違いなくキャリア最高のテニスをしている。5セットのマラソンマッチを2試合制してきているし、失うものはないという姿勢で来るだろう。強烈なサーブを武器にパワーのテニスを展開してくるはずだ。こちらとしては、その嵐を耐え抜きたい」 (c)AFP/Dave JAMES