ファンの喜びは同じなのだ。

 杭州の工事現場では、無線ネットワークが無いために、現場の仲間たちがスマホとモバイルバッテリー、ビールとつまみを出し合って役割表を作り、交代で実況中継を観戦していた。

 韓国がドイツ戦で2得点したその夜、 北京の簋街の全ての店で一瞬、大歓声が上がり、街全体が数秒にわたり沸騰した。スクリーンの周りでたむろしていた運転代行のドライバーたちは飛び跳ねて喜び、店の中に潜り込んでいった。

 その試合は、胡さんはドイツ勝利に賭けたサッカーくじを買っていた。まさか韓国がドイツを下すとは、思いもよらなかった。

 そして今、ブラジル対メキシコの8強を賭けた試合が開始した。ブラジルは胡さんが好きなチームの一つ。ズボンのポケットには、ブラジル勝利に賭けたくじが1枚入っている。

 電動バイクのスロットルをひねると、胡さんのバイクは夜の帳の中に飛び出していった。風が耳の周りを流れ、ヘルメットの中にこもっていた湿気がすっきりと乾いていく。

 建国路は杭州の古い区画の中では中心区域にあり、道路幅は広いとは言えない。新しく建てられたオフィスビルは空に向かってそびえ、傍らには立ち退かないまま残ってしまった古い住宅。地下鉄の新線が近くまで通るということで、道路の中央部分は細長い工事現場になっている。