【7月10日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)の大会責任者は9日、サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)でイングランドが決勝に勝ち進んだ場合、試合時間が重ってしまう可能性があるとしても、男子シングルス決勝の開始時間はこれまで通り変更しないと再度主張した。その一方で、センターコートの観客が自分たちのスマートフォンなどでロシア・モスクワの状況をこっそり確認することには異議を唱えないとしている。

 大会を運営するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は、現地時間15日午後2時(日本時間同日午後10時)に行われる男子シングルス決勝が、同日午後4時(日本時間16日午前0時)にキックオフとなるW杯決勝と重なるため、試合の開始時間を見直すことを迫られている。11日に行われるW杯準決勝でクロアチアを倒せば、イングランドはトロフィーを獲得した1966年大会以来となる決勝の大舞台に立つことになる。

 AELTCの最高経営責任者(CEO)を務めるリチャード・ルイス(Richard Lewis)氏は、「午後2時のスタートを維持するというのが、われわれの率直な決断だ。これは来年も変えるつもりはない」と述べた。しかしながら、センターコートに集まった1万5000人の観客が、端末を使ってサッカーの試合状況を追っていくことは、プレーの邪魔にならない限り禁止するつもりはないという。

「われわれの姿勢としては、端末をサイレントモードにしておくとか、イヤホンを使用するなどして、他の皆さんがテニスを楽しんでいるのを阻害しない限りは構わない」

 一方、ウィンブルドンで優勝8回を誇り、大会連覇を目指す中で15日の決勝でプレーする可能性が誰よりも高いロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、同日の4回戦でフランスのアドリアン・マナリノ(Adrian Mannarino、フランス)にストレート勝ちを収めた後、冗談交じりにウィンブルドンのタイトルマッチに合わせてW杯の決勝時間をずらすべきだと主張し、「ウィンブルドンの決勝が行われているから、W杯決勝に影響が及ぶことを心配している」と話した。

「(W杯に出場している)選手たちは、観客が0-15、15-30と毎ポイント確かめているのを見上げても、ウィンブルドンで何が起きているのか分からない! ウィンブルドンは自分にとって、そしてここにいる自分たちにとって、それほど大切なんだ」

 ルイス氏はまた、1番コートの側面に設置されているウィンブルドンの大型テレビスクリーンで、11日のW杯準決勝と15日のW杯決勝の試合を放送する計画はないと述べた。15日の男子シングルス決勝は、イングランドが目指しているW杯決勝が始まっても終了していない可能性がある。

 特にフェデラーとラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が対戦した場合は、そうなることが予想されている。両者は10年前の2008年大会決勝で激突し、フルセットに及ぶ名勝負の末にナダルが勝利を収めたが、試合が終了したのは現地時間午後9時16分だった。(c)AFP/Dave JAMES