■政府の「収容・教育」を拒否した加害者両親

 中国の現行の刑法では、「満16歳以上の犯罪者は刑事責任を負う必要があるが、16歳未満には刑事処罰が科されず、その保護者に対し管理・教育の強化を命じ、場合によっては政府によって収容・教育の必要がある」とされている。

「湖北省公安機関弁理収容教育案件プログラム規定」によると、「未成年犯罪者の家庭について管理・教育の能力がないと判断し、収容・教育の必要がある場合は、関連機関が未成年犯罪者の保護者に対し、公安機関へ政府による収容・教育の申請書を提出するよう要求できる」とされている。

 事件を管轄する孝天派出所の劉所長によると、加害者の保護者と話し合い、収容・教育機関について説明した。加害者の父親は自ら収容・教育の施設を確認しに行ったが、最終的には政府による収容・教育を拒否した。その後、加害者は中学校には行かず家の仕事を手伝っているという。

 その後、被害者の両親は、民事上の損害賠償について加害者側と話し合っているが、賠償金額について意見が一致せず、まだ結果は出ていないという。

■未成年被害者の救済 改善が必要だ

 趙さんがウェイボーに6月26日、事件について書き込むと、たちまち話題となり論争を呼んだ。

「法律も時代によって進化するべきだ」「未成年を過度に保護することで、逆に悪影響もある。法律は全体の利益に配慮する必要がある。悪意ある人につけ込まれてはいけない」「『未成年者保護法』が犯罪者の防弾チョッキになってはいけない」といった議論が交わされた。

 中南財経政法大学(Zhongnan University of Economics and Law)刑事司法学院副院長の童徳華(Tong Dehua)教授は「加害者の保護者は監督・管理責任を問われるべきだが、事件現場となったマンション管理業者にも一部責任がある」と話している。

 湖北省弁護士協会・未成年者保護法律専門委員会の李春生(Li Chunsheng)主任は、「心理カウンセリングや法律支援、司法支援といった未成年被害者の救済は強化されるべきだ。公安機関は、こういった案件についてただ取り下げて済ませてはいけない。収容・教育の必要性や、加害者の保護者が賠償すべき被害者の医療費などの損失について、しっかり評価しなければならない。被害者が民事訴訟を提起する根拠となるように、被害者には事件の証拠と結果を報告しなければならない」と話している。(c)東方新報/AFPBB News