【6月30日 AFP】カナダは29日、米国産の鉄鋼、アルミニウムや、オレンジジュース、ケチャップ、バーボンウイスキーなどの消費財に報復関税を課すことを発表し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領との貿易戦争で反撃を開始した。

 この措置は、カナダのクリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)外相が同国のオンタリオ州ハミルトン(Hamilton)にある製鉄所で発表したもので、7月1日に発効する。

 課税対象は250品目余り、金額にして166億カナダドル(約1兆4000億円)規模で、税率は鉄鋼が25%、アルミニウムと消費財が10%となる。

 カナダとメキシコは当初、米国が輸入鉄鋼・アルミニウムに課した関税の対象から外されたが、3か国による北米自由貿易協定(NAFTA)改定交渉が滞る中、トランプ大統領が6月初めに除外措置を終了していた。

 カナダ政府は報復関税のほかに、鉄鋼・アルミニウム業界に対する20億カナダドル(約1700億円)の支援を行うことも明らかにした。

 フリーランド外相は、「カナダは抑制的、相互的な同規模の対応措置で報復せざるを得ない」と表明。「われわれはエスカレートすることも、引き下がることもない」と述べた上で、今回の関税はカナダ政府による貿易制限措置として第2次世界大戦(World War II)以降で最も厳しい内容だとし、トランプ政権による輸入関税の撤回を強く求めた。

 カナダ側の課税対象品目には、フロリダ州のジュースやウィスコンシン州のトイレットペーパー、ノースカロライナ州の小キュウリといった労働集約的な製品・産品が含まれ、11月の米中間選挙でトランプ氏の支持層に圧力をかける狙いがある。(c)AFP/Michel COMTE